田方医師会員が支える脳卒中地域連携パスの開設 県東部・伊豆地区脳卒中地域連携パス はじめに

 医学の進歩とともに脳卒中で亡くなる方は減少していますが、高齢化の進展とともに脳卒中を発症する患者さんの数自体は右肩上がりに増加しています。また、たとえ救命されたとしても精神機能の障害や身体の運動麻痺を生じて、日本人の寝たきりの原因になる最も多い病気とされています。このように患者さんの数も多く、要介護にいたる最も多い原因の病気である脳卒中については、急性期の治療から在宅復帰、社会復帰に向けて移行するには各医療機関やかかりつけ医との円滑な連携が必要となります。

脳卒中診療の流れ

 最近の考えでは後遺障害をできるだけ軽くするため、脳卒中を発症して入院するとできるだけ早くからリハビリ(以下リハビリ)治療が併行して行われます。急性期の治療により生命に関わる徴候が落ち着いたら、約2W前後を目標としてリハビリに専念するために回復期リハビリ病棟のある病院に転院することになります。回復期リハビリ病棟では医師・看護師とリハビリスタッフがチームを組み、患者さんの障害の程度に応じた目標設定を行い、集中してリハビリを行いながら頻回なカンファレンスにより患者さんの円滑な退院の調整を行います。実際には多くの患者さんが何らかの障害や慢性疾患を抱えたままの退院となるために、地域のケアマネージャーや訪問看護ステーション、さらにかかりつけ医との連携が必要となります。

在宅緩和ケア

 これまで述べたように急性期→回復期→生活期の移行を地域で共通した連携用紙を用いて、患者さんの診療情報を地域で統一した流れでみようという試みが脳卒中連携パスです。

脳卒中地域医療連携パスの流れ

実際には患者さんは急性期病院に入院すると7日以内に主治医から今後の脳卒中の治療とリハビリテーションの流れについて患者さん用のパスシートを用いて説明を受けることから連携パスは始まります。さらに順調に治療が進めば、急性期治療開始から2W前後に回復期リハビリ病棟へ移ることになります。さらに回復期リハビリチームの主治医から連携パスシートを用いて説明を受け、患者さんごとに設定した目標に向けて集中したリハビリを連日受けます。

連携パスシートについて

多くの患者さんは2〜4ヶ月後に設定した目標を達成し在宅療養に移行しますが、このときにも地域のかかりつけ医と病院の間で連携パスによる診療情報の伝達が行われ、再発予防および生活機能維持が計られて安定した在宅療養が行われます。

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